ミステリーの専門用語に『フーダニット』というのがあります。これは「Who done iit?」、誰がやったのか、すなわち犯人当てのことです。同様に『ハウダニット』はトリック当て、『ホワイダニット』は動機当てを表す言葉として使われます。一口にミステリーといっても、何がメインの謎になっているかは作品によって様々ということですね。
そんなわけで今回はハウダニットの毒殺ミステリー。職場の給湯室で冷蔵庫に飲み物を補充してくれている事務員さんと話しながら、プリントアウトした書類を手に取った時に着想しました。当初はいつもどおり最初からカイカンとムーンが現場に出向いて捜査をするストーリーだったのですが、どうもしっくりこず、以前から構想していたカイカンの同期のエリー警視がムーンをヘッドハンティングしようとする話を絡ませてみることにしました。半分以上書いてから書き直したわけで、忙しいさなかに何をやってんだという感じですが、それで日々の疲れが癒えているのだからやっぱり僕には必要なことなのでしょう。
そんな生い立ちの本作、少しでもお楽しみいただけたら嬉しいです。残暑とコロナと台風の候、くれぐれもご自愛くださいませ。
令和4年9月10日 福場将太