プロローグ

 …見えてきた。
 夕日にきらめく海を背に佇むなだらかな丘、その丘を囲むように芝生が敷かれた港の見える小さな公園。何度か通りかかったことはあるけど、ちゃんとここに来るのは初めてだ。
 ハンドルを握る手を緩め、車をゆっくり減速させる。そして駐車用のスペースに停車すると、そっと息を吐いた。
 辺りを染める夕焼けはフロントガラスからも流れ込んで、車内までオレンジ色に染め上げてる。とっても…悲しいくらい綺麗だ。
 シートベルトをはずしながら俺は助手席に告げた。
「お待たせ。夕焼けの丘だよ、しらべちゃん」