弾き語りスペクトラム

2013年に完成したミニアルバム。一本の光がプリズムを通って七色に分かれるように、一本のギターから生み出された七色の物語がこのアルバムのテーマです。同じ曲でも人によってイメージする色が異なるのが音楽の興味深いところ。ライブさながらに弾き語り一発録音の30分、聴いてくださった方それぞれの配色を楽しんで頂けたら嬉しいです。

収録曲

    1. モカ・ブレンド
    2. 永遠の少年
    3. 僕には関係ない話
    4. あ、やっぱカワイイ!
    5. ヒロシマ
    6. つき合っていた頃よりも
    7. NO LICENSE

01. モカ・ブレンド

作詞・作曲・編曲:福場将太

たとえばそこに一本のギター
仕事の手を休めて少し鳴らしてみる
その隣には君が座っていて
好きな本を読んだり好きなことをしてる
たったそれだけのこの部屋に
幸せを感じる奴がいてもいいだろう?
何度も大嫌いになって 何度も疑いを持って
何度も愛想が尽きたのに やっぱり やっぱり君みたいだ

たとえばそこに熊のぬいぐるみ
君にほっぺをつねられ苦笑いしてる
窓の外には雪が積もっていて
ストーブの上のヤカンはそっぽ向いてすねてる
ねえもう少しこのままで
君が入れたモカ・ブレンド 飲んでいてもいいだろう?
どんなに隠し事があって どんなに偽りがあって
どんなに苦痛を伴っても やっぱり やっぱり君みたいだ

たとえばそこに一通の手紙
封を切ったら不幸が多分告げられてしまう
まだそのことは君には言っていない
あと二、三曲弾いたら話してみようか

Memo : 短編小説のような曲を…と思って作った一曲。一体どんな物語なのか、それぞれ空想しながら聴いてもらえたら嬉しいです。やはり寒い雪の日にはあったかいコーヒーですよね。

02. 永遠の少年

作詞・作曲・編曲:福場将太

僕らはいつか忘れてしまう
シュートの撃ち方を カーブの投げ方を
僕らはいつか憶えてしまう
力の抜き方を 本気でやる振りを
あれがしたい これもしたい そんなことばっかりで
何が自由かなんてわからないままで
涙が出る日は大きな夢を 思い出してみよう もう一度
引き出しの奥にもしものために ずっととっておいたあの夢だよ

僕らはいつかヘタクソになる
ギターの弾き方も 写真の撮り方も
僕らはいつかベテランになる
書類の書き方も 別れの告げ方も
誰が好き 誰が嫌い 行き当たりばったりで
何が理由かなんて風吹くままで
溜め息出る日は大きな声で 歌い上げてみよう あの曲を
伝えられなくて校舎の影で いつも口ずさんだあの歌だよ

まだそこにいるのか 記憶の中の少年
涙が出る日は大きな空を 思い出してみよう もう一度
手の届かない将来のことを いつも落書きしたあの空だよ

僕らはいつか幸せになる
僕らはいつか幸せになれる

Memo : 本アルバムのキーとなる曲。これぞまさにギター弾き語りといった感じです。リサイクルショップで買ったミニギターで作りました。

03.僕には関係ない話

作詞・作曲・編曲:福場将太

僕からすればなんだけど 君は無意味な恋ばっかりしてる
そういうこと言うとまたケンカになるから
最近じゃもう口出さない
傍から見ればなんだけど 君はいいようにされちゃってる
人気者でもいつも淋しそうだから
それさえもきっと利用してるみたい
崖っぷちを歩く幼稚園児 君はそれくらい不安定で
手を引いてあげたい気もするが そりゃ僕だって僕の恋で忙しい
だからさっさと幸せになってよ 不幸な素振りは目障りなのさ
だからとっとと幸せになってよ まあ僕には関係ない話だけどさ

自分のことも疎かなのに いつも他人事に巻き込まれて
解決できる、と自信過剰だから
頭はいいのに生き方が下手だね
ハーレーダビッドソンに乗るおばあちゃん 君はそれくらい危なっかしく
注意してなおるタマじゃないし そりゃ僕だってイライラしてる場合じゃない
もっと練ってよ人生設計 君がイメージできる最高を
なんかちょっとね矛盾すっけど その生き方と馬鹿さ変えないでほしいな

幸せは必ずどこかにあるが たどり着けるかはわからなくて
人はつい都合のいい偽物 作り上げてよしとしてしまう
だからさっさと幸せになってよ 不幸な素振りは目障りなのさ
だからちゃっちゃと幸せになってよ みんなと同じじゃなくていいんだから
だからせっせと幸せになってよ 負け認めた君など見たくない
だからとっとと幸せになりやがれ まあ僕には関係ない話だけどさ

関係ないなら言うなよって感じですが、それが許されるのが音楽の世界。こういう無責任でお節介なメッセージは歌っていてとても楽しいものです。

04. あ、やっぱカワイイ

作詞・作曲・編曲:福場将太

あ、やっぱカワイイ! そんなことを思う
もういい歳なのだけどこれだけは変わらない
滅多に見せない本音が油断してグラスにポロリ
その後の悔しそうなあなたの素振りが大好き
素直になれないなら 俺がそばにいるよ
不安が消えないなら 俺のそばにいろよ
あの時の言葉 嬉しかった 嬉しかった
本当に嬉しかった

ね、もっと笑って そんなことを願う
もういい加減にしろと言われても仕方ない
どうでもいいとか言いながら実は結構傷ついてる
手は抜くけど気は抜けないあなたの加減が大好き
忘れられないなら 多分それでいいよ
笑わせてたいのに いつも怒らせてた
あの頃のことは 楽しかった 楽しかった
死ぬほど楽しかった

デートの誘いは全部無視 でもまるでどこかで見てるように
どん底の日は連絡くれるあなたの間合いが大好き あなたの心が大好き
素直になれないなら 俺がそばにいるよ
不安が消えないなら 俺のそばにいろよ
あ、やっぱカワイイ! そんな気持ち これから先
どこまでも続くだろう

Memo : ラジオでDJが「昔好きだったアイドルを久し振りに見て、あ、やっぱ可愛いって思っちゃいました」と話していた言葉が妙に気に入って着想した一曲。大学のサークルや職場には年上だけどいつまでも可愛い先輩っているものですよね。

05. ヒロシマ

作詞・作曲・編曲:福場将太

ミンミンゼミの鳴く下で 麦藁帽子でお墓参り
あなたに会いに来ましたよ 両手を合わせて祈ります
この人生の大半は あなたを愛していましたよ
それが私の自慢です それが私の誇りです
戦争知らずの孫達に 平和を説いても伝わらず
年寄り染みた話ですが 大切だと思うから
生きていることの素晴らしさ 生かされることの有難さ
そしてあの夏の日の暑さを 何十年経とうが忘れない

やりたいこともあきらめた それが私らの悲劇なら
やりたいことが見つけられない それが今の子の悲劇かな
お国のために死ぬなんて しなくてもいい時代です
でも自分勝手に死んでしまう 死なせてしまう時代で
日本は平和になったのか 正直私は言えませんが
それでも可愛い孫達よ 戦争知らずでいておくれ

ミンミンゼミの鳴く下で 麦藁帽子でお墓参り
あなたに会いに来ましたよ 両手を合わせて祈ります
この人生の大半は あなたを愛していましたよ
それが私の自慢です それが私の誇りです
今度生まれてくる時には 真の平和でありますように

Memo : 僕の故郷は広島。そして祖父母は戦中を生きた世代です。幼い頃からくり返しくり返しその頃の話を聞かせてくれました。こんな音楽に集約できるほど簡単なことではありませんが、少しでも大切な気持ちを受け継いでいけたらと思います。

06. つき合っていた頃よりも

作詞・作曲・編曲:福場将太

つき合っていた頃よりも 何気なくいれたり
つき合っていた頃よりも 気軽に話せたり
つき合っていた頃よりも かっこよく見えたり
つき合っていた頃よりも 仲良しかもしれない でもね 恋人でいたかった
恋人でいるということは 別れの影と戦うこと
誰より近いということは 誰より遠くもなりうること
不可欠になればなるほどに もしもそれを失った時
取り返しがつかなくなるよ 百も承知で恋に堕ちる

つき合っていた頃よりも 友達が増えたし
つき合っていた頃よりも 好きなことできるし
つき合っていた頃よりも 心辛くないし
つき合っていた頃よりも 幸せかもしれない なんて そんなはずないのにね
どこにでも転がってそうな 珍しくない別れでしょう
所詮ゲームと悟りながら 二人は特別と思い込む
永遠を待ち続けるなど 誰もできるはずもないから
この恋をまた嘘に変えて 次を本物に仕立て上げる

つき合っていた頃のこと 今も夢に見るわ
つき合っていた頃のこと 失敗作だけど
つき合っていた頃のこと 憶えててほしいな
つき合っていた頃のこと 無駄にしたくないから ちゃんと前を向いて

つき合っていた頃よりも 少し強くなれた
つき合っていた頃よりも 恋愛がわかった
つき合っていた頃よりも もっと自分らしく
つき合っていた頃よりも きっと綺麗になろう でもね 恋人でいたかった

Memo : 本アルバムで唯一コーラスを重ねている曲。前向きにはなりきれない、未練というものを完全には断ち切れない…そんな人間の心がやっぱり愛しいです。

07. NO LICENSE

作詞・作曲・編曲:福場将太

どうしようもないことがまたひとつ 非力な自分に涙する
何も止められず何も変えられず 滝壺に向かう舟の上
失い続けるために僕らは生きてるわけじゃない
奪われたらその分何かを 意地でも掴み取れ
いてもいいんだよ いてもいいんだよ 君がそう望む限り
迷惑ばっかりかけちゃうけど そこに生きてていいんだよ

雲の上にある遠い幸せに 手を伸ばすことはもうやめた
今はそばにある日々の幸せを 守ることでさえ精一杯
あきらめ続けるために僕らは夢見たわけじゃない
傷ついたら傷から何かを 夢中で感じ取れ
願っていいんだよ 求めていいんだよ 君が人を愛す限り
何の役にも立ってないとか そんなことはいいから

誰かと比べるために僕らは生まれたわけじゃない
他の人が五分でできることを 十年かけてもいいじゃないか
下手でいいから ダメでいいから 泣いていいから 負けてもいいから
いてもいいんだよ いてほしいんだよ 君がそう望む限り
迷惑ばっかりかけちゃうけど そこに生きてていいんだよ
誰も一人じゃ生きていけない だから君がいていいんだよ

Memo : 不思議なもので、すごく歌いたい時と絶対歌いたくない時がある一曲。好きな曲というのはもちろん気分でも変わるのですがこの曲は特にその落差が大きい。とりあえずでは歌えない曲の一つです。