2026年8月20日(木)、社会福祉法人日本視覚障害者団体連合、通称『日視連』主催の研修会で講義を行なった。自身にとって学びの多い時間となったので、ここにその記録を。
■演題
視覚障害を告知された時の当人や家族の心の理解
■セットリスト
第1章 視覚障害とは何か
第2章 視覚障害とメンタルケア
第3章 回復へのアプローチ
第4章 よかれと思ってのすれ違い
第5章 まとめ
1.その職の名は
まずは『視覚障害リンクワーカー』について。眼科病院を拠点に活動する専門職で、その役割は「視覚障害の告知を受けた患者とその家族に早期から関わり、患者の状態に応じて、必要な社会資源につなぐこと」とされる。
「リンクワーカー」の「リンク」が「つなぐ・橋渡しをする」という意味であり、例えば告知のショックで心の調子を崩した眼科の患者さんがいたら、早めにメンタルケアの専門家につなぐといったことである。
僕が働く精神科においても、患者さんと家族だけで必要な社会資源を見つけて手続きするのは難しいこと。だから精神保健福祉士という精神科に特化したソーシャルワーカーが存在し、間に入って調整したり、手続きのアシストをしたりしている。
眼科においてもこのような存在は重要であるし、特に告知を受けた早期の段階から関わるというのは望ましいことである。
2.未来の職
ではこの視覚障害リンクワーカー、いったい日本にどれくらい存在するのかというと、実はまだいない。事実上そのような役割を果たしている支援者はいたとしても、公的な専門職として認知や資格化はまだされていないのだ。
英国では1990年代からECLO(Eye Clinic Liaison Officer)として設立され、活動が続けられており、近年日本でも「日本版ECLOを作ろう」という声を、視覚障害関連のイベントや研修会で耳にするようになった。
日視連では、2022年から視覚障害リンクワーカーの実現に向けて取り組んでおられ、今回の研修会もその一環。医療・福祉・教育・就労などの支援者を対象として、8月19日から四日間に渡り、日本視覚障害者センターにて開催された。
3.職を学ぶ
今回の講師依頼は、所属している『視覚障害をもつ医療従事者の会 ゆいまーる』を通じて受けることとなった。僕の登壇は8月20日、現地ではなく北海道からのオンライン参加。
約90分の講義と30分の質疑応答。視覚障害リンクワーカーを目指す受講者さんたちにとって少しでも役に立つ学びになるように、精神科医という支援者の視点と、失明を経験した当事者の視点、二つを行き来しながら話をした。
目を患った人たちの心のケアに携わるようになってもうすぐ八年。まだまだ道半ばであり何も成し遂げていないのだが、今回の講義ではこれまでに学んだことから特に大切と感じたエッセンスを抽出したつもりだ。
今後も無理なく学びを深めて、少しでも貢献していきたい。受講生のみなさん、活発な質問をありがとうございました。
4.研究結果
国が違えば文化も違う。
日本らしい視覚障害リンクワーカー、その誕生を祈って。
令和8年8月22日 福場将太