JRPS講演会 新しい居場所はどこにある?

 2026年2月6日(金)、JRPSこと日本網膜色素変性症協会のミドル部会からご依頼を受けて講演を行なった。ミドル部会は40代~50代のメンバーを中心に構成されており、言わば同世代。ちょうど二ヶ月前にはユース部会の講演を登壇したので、今回はユースとミドルで対になる内容を意識した。ここにその思い出を。

■演題

 網膜色素変性症と生きて 新しい居場所はどこにある?

■セットリスト

第1章 網膜色素変性症と生きて
第2章 網膜色素変性症からの3つの回復
第3章 回復のためにできること
第4章 まとめ

1.Middle Time

 イベントの開催は20時~22時。自分もそうであるが、きっと参加者のみなさんにとって仕事や家事のあれこれが一段落した時間帯のセッティングなのだろう。今回もユース部会同様、スライドも手元資料も用いないトークのみの講演。こちらもリラックスして話をすることにした。

 それにしても、オンラインの普及によって移動時間がなくなって暇ができるかと思いきや、こうやって帰宅後の時間にも仕事やイベントが入るようになった。いやはや、文明の利器とは皮肉なもの。
 みなさん、お疲れ様です!

2.Middle Age

 ユース部会の講演は若い世代が対象ということで、これからの進路を決める上でのヒントを盛り込んだ。ただミドル部会のみなさんは、それぞれ進路を決めて歩いておられる方がほとんど。すでにお父さんだったりお母さんだったり、夫だったり妻だったり、会社員だったり支援員だったり、家庭でも社会でも何らかの責任ある役割を担っている。
 よって、どうやって道を探すかということより、目を悪くした自分がどうやってこの道を歩き続けるかということがテーマとなった。

 今回お伝えした一つのヒントは、目的地の変更。目が見えていた頃に目指していた目的地をそのまま目指してしまうと、たどり着けなくて苦しくなる、できない自分が悲しくなる。だから少しだけ目的地をずらしてみるのだ。
 例えば目が見えていた頃と同じように、父親として息子とキャッチボールをしよう、会社員として車で外回りに出よう、というのは無理がある。そこで「目が見えないお父さんになるにはどうしたらいいか」「目が見えない会社員になるにはどうしたらいいか」と考えてみるわけだ。
 それだってもちろん簡単ではないが、僕の所属している『視覚障害をもつ医療従事者の会 ゆいまーる』のメンバーには、目的地を「医者」から「目が見えない医者」に変更し、そこにたどり着いた仲間がたくさんいる。

3.Nice Middle

 ミドルといえばオシャレだが、つまるところは中年のこと。中年という表現にはあまりポジティブなニュアンスがないが、それでもこの年齢になったからこその喜び、嬉しさ、人生の味わいは存在する。今回の講演は真面目な話ばかりをしてしまったのが自分の反省点であり、できれば趣味の話、みなさんの日々の楽しみを伺ってみたかった。

 講演でも触れたが、当事者会の仲間の存在は障害を負った者にとって大きな励みとなる、支えとなる。一方で気持ちの回復段階は人それぞれなので、同じ障害や苦労を抱えた仲間であるはずなのに、当事者会の中ですれ違いやいざこざが生じることも少なくない。
 だから大切なのは、障害の話ばかりしないこと、真面目な話ばかりしないこと。ゆいまーるは「視覚障害」と「医療従事者」という二つの共通点のある当事者会だが、年に一度の総会で趣味の話題でグループトークをするととても盛り上がる。僕だってそうだ、ゆいまーるの存在を知ってすぐに集まりに参加できたわけではないし、参加してすぐに溶け込めたわけでもない。でもそれでいいのだと思う。
 それぞれの力加減で、それぞれのタイミングで、それぞれのカラーもそのままで参加できる当事者会。そっぽを向いて座っている人も、熱弁を振るっている人も、参加せずにこっそり応援している人も、みんな仲間であるように。

4.研究結果

 新しい目的地を、新しい居場所を探していこう。
 亀の甲より年の功。
 これまでの経験を糧にして、まだまだ人生の半ばだぜ!

令和8年2月7日  福場将太