ラジオ大阪『話の目薬 ミュージックソン』で書籍紹介

 ラジオは視覚障害者にとってバリアフリーなメディア。中学・高校時代に嘉門タツオさんの『爆裂スーパーファンタジー』という番組でその魅力に目覚めてから、通常のトーク番組からネタ番組、音楽番組、アニメやゲームの声優さんが作品を紹介する番組、物語を楽しむ朗読番組やオーディオドラマ番組まで、僕はラジオが大好きである。リスナーとして楽しむのはもちろん、このサイトの放送室で怪しげなパーソナリティをするのももはやライフワーク。
 そんな自分が、再びラジオ大阪の番組『話の目薬 ミュージックソン』に電話出演する機会に恵まれた。

1.関西の情熱

 狭い日本とはいえそれぞれの地域に風土や文化があるように、障害についての関心の高さ・理解の深さも地域によって違いがある。正式な調査をしたわけではなくあくまで肌感覚だが、関西は視覚障害に対する情熱が強い。例えば市区町村の垣根を越えた当事者団体を実現している『京都府視覚障害者協会』、当事者の支援や訓練に歴史的な伝統を持つ『京都ライトハウス』は京都。『視覚障害をもつ医療従事者の会 ゆいまーる』の代表で、全盲で医師国家試験に合格された日本の第1号である守田稔先生がおられるのは大阪。当事者支援の様々なイベントを展開している『公益社団法人 NEXT VISION』が拠点とし、最先端の眼科医療・福祉を追究している神戸アイセンターがあるのは兵庫なのだ。先日発刊された僕の著書『目の見えない精神科医が、見えなくなって分かったこと』も、関西での売り上げが一番好調と編集者さんがおっしゃっていた。

 ラジオ大阪もご他聞に漏れない。2024年12月24日から25日にかけて『ラジオチャリティー ミュージックソン』という24時間番組を放送し、目の不自由な方のための音の出る信号機設置の募金を呼び掛けておられる。この度電話出演した『話の目薬 ミュージックソン』も、視覚障害者が社会で生活する上で直面する課題を取り上げ、障害があってもその状況を克服して明日を元気に生きていこうというメッセージ、そのための情報や支援者の活動を伝えている番組だ。著書を発刊したことで、再び声を掛けていただけたのは誠に有難い。

2.本番の会話

 1年9カ月ぶりの電話出演だったが、パーソナリティは変わらず西村さんと原田さん、お二人の声で紡がれる優しい雰囲気もそのままで、僕はすぐにリラックスしてお話をすることができた。

 今回も嘉門さんの番組のハガキ職人だったという話、その影響でギターを始めて今も音楽が好きという話から始まり、中盤からは僕の著書についてとても丁寧にご紹介くださった。
 原田さんは特に『積極的に曖昧に生きよう』という箇所を気に入っておられ、実際に番組の中で朗読もしてくださった。目が見えている方にとっても不自由な方にとっても、それぞれの探し物を探すためのヒントとなる言葉を散りばめたつもりの本。少しでも楽しんでもらえたのなら嬉しい。

3.後日の放送

 オンエアーは2024年11月26日(火)、前回と同様に北海道にいる僕は直接オンエアを聴くことはできなかったが、後日データを送っていただいた。
 改めて感じたのは、ラジオは素敵なメディアだということ。番組の中でもSNSの情報過多について話題になったが、情報は多ければ多いほど良いとは限らない、心に届くとは限らない。
 ラジオは音だけのメディア。派手な映像も無数の文字も存在しない。早送りもできず、聴き終えた後にお薦め番組をいくつも提案されることもない。映像メディアが飛躍的な進化を遂げている中、ラジオは昔のまま。でもそれでいいのだと思う。それがいいのだと思う。

 家事や炊事をしながら、車を運転しながら、残業や受験勉強をしながら、聴き流したり聴き逃したり、時々耳を傾けたりもしながら、ほんのり味わう。ほどほどの情報で押し付けない力加減、でもそっと心に寄り添ってくれる。それがラジオなのである。歌手の中にはラジオにしか出演されない方もおられるが、一番お人柄や曲に込めた思いが伝わってくる気がする。

4.研究結果

 ラジオは心に優しいメディア、ラジオ文化よ永遠に!

令和6年12月22日  P.N.快感な男 こと 福場将太