今年もなんだかとても長かった気がする。ただ昨年と異なるのは、鮮烈な記憶というのは少なく、むしろ全てが夢か幻だったかのような気がすること。こんな不思議な感覚は初めて。そんな2023年を研究しよう。
1.今年のコンセプト
掲げていたのは『自分に厳しく』。そのせいなのか確かに疲れている。しかしそんなに自分に鞭打っていただろうか。昨年と比べてそこまでハードスケジュールだっただろうか。
と、考えていたところで疲労の原因が思い当たった。そう、今年は特段例年より過労だったわけでも多忙だったわけでもない。この疲労の原因を一言で表すならば、「視覚障害の成分が濃過ぎた」ということだ。
もちろん視覚障害も自分の人生を構成する大切な成分であるのだが、今年はその成分が過剰、それで栄養のバランスが偏ってきっと胃もたれしているのだ。
2.メリット
今年は視覚障害関連の講演やイベント、執筆の仕事が多かった。ラジオやテレビの取材まで受けた。とても有難いことであるし、全てをやり切った今、もちろん心地良い充実感もある。
3.デメリット
しかし一報で、本来は両立させなければならない精神科医としての本業や、ライフワークの創作活動が圧迫されてしまったのは否めない。体調を崩しても講演や執筆の仕事があるとどうしても療養よりそちらを優先させてしまうことが多かった。
4.活動報告
ではそんな2023年の活動を振り返ってみよう。
●公益社団法人 NEXT VISION
ここでの活動は例年どおり。具体的には3月に行なわれた『I See! Working Awards 2023』の授賞式に審査員としてオンライン参加したくらい。ただその前日には講演の仕事を入れていたからやはりエネルギーの使い方としては健全ではなかった。
●視覚障害をもつ医療従事者の会 ゆいまーる
15周年ということで今年はこれが大きかった。5月に行なわれた初のハイブリット形式での総会、その中でのアニバーサリー企画とグループトークの運営。役員のみんなで分担したので自分だけ大変だったわけではないのだが、総会の翌日に講演の仕事を入れていたのでエネルギー消費は大きかった。
さらにゆいまーるとも縁が深い京都府視覚障害者協会が発行している『メルマガ色鉛筆』の10周年記念イベントに参加し、レクの司会やミニライブもさせていただいた。とても楽しかった一方で、自分の準備不足が申し訳なかった。
また点字毎日に連載中の『ゆいまーるのこころだより』も、年々自分の中でハードルを上げ過ぎており、もっと気楽に書いてもよいのかもしれない。
●音楽関連
今年新たに製作したのは3曲。小学校卒業30周年を記念した『忘れないでツタカズラ』、ゆいまーる15周年を記念した『小さな役割』、そしてメルマガ色鉛筆10周年を記念した『光のメールマガジン』。一曲一曲はもちろん大切なのだが、一念で作った曲がどれもアニバーサリー企画でしかも2曲が視覚障害関連の歌というのは本来自由であるべき音楽の創作スタイルとしてはやはり問題であろう。
●執筆関連
今年一番悔いが残るのがこれだ。例年はこのサイトの図書室に『刑事カイカン』のシリーズを年間数本は掲載できていたのだが、今年はわずか2作のみ。せめて年末には一本長編を…と思っていたのだがそれも間に合わず。いかに趣味に当てる時間が圧迫されていたかということだ。
研究室に更新したコラムも視覚障害関連の物が多数。まずいまずい、これでは医療や福祉の情報サイトになってしまいかねない。僕自身がそうありたいと願っているように、色んな成分を含有して何が主旨なのかわけがわからなくするのがこのサイトの理想の形なのだから。
そんな中、僕の人生の3大ヒーローであるインディ・ジョーンズ、ブラック・ジャック、そして刑事コロンボに関する研究コラムは心の底から楽しんで書けた。ある意味で今年一番力を込めて書いたのがこれ。やっぱりこういう成分もなくっちゃね!
●その他
今年は新宿の地で十数年ぶりに大学時代の音楽部の仲間と再会した。そして京都の地で十数年ぶりにオリジナル曲を人前で歌った。
さらに恐れ多くもラジオとテレビに出演させていただいた。まだ取り上げていただくほど何も成し遂げていないのだが、自分の存在を知っていただくことで誰かが何かを感じてくれたのならそれは素直に嬉しい。
視覚障害の活動が多過ぎたと書いてきたが、もちろんそれが嫌いとか苦痛とかいうことでは全くない。大いにやりがいを感じているし、そのおかげで素敵な出会いにも恵まれている。ただやはり一つの成分が濃くなるとどうも僕の心身は不調をきたすらしく、視覚障害と同じくらい精神科医療、そして音楽や執筆もやっていたいのだ。中途半端でもやっぱりそれが自分のスタイルなのだと今年は改めて確信できた。その意味では、当事者・支援者・表現者、この三拍子揃ってのお話をさせていただいた11月の乃木坂スクールの公開講座は、一番自分らしい講演だったと思う。
5.来年のコンセプト
2019年が『ためらうな』、2020年が『優しくなれ』、2021年が『スキルアップ』、2022年が『新たなる挑戦』、2023年が『自分に厳しく』ときて、2024年をどうするか。
今年の反省を踏まえて、これはもう『自由であれ』といこう。何物にも縛られず…とはさすがにいかないまでも、初診に立ち戻って自由に色々表現してみたい。
今年も『MICRO WORLD PRESENTS』を閲覧してくださったみなさん、本当にありがとう!
6.研究結果
大切なのはエネルギー配分、そして栄養のバランス。
2022年の自己採点: 68.3点+期待値α
令和5年12月22日 福場将太