2023年12月16日(土)、『甲斐ひとみネット』からのご依頼を受けてオンラインの講演を行なった。思えば今年の講演活動は1月の『山梨県視覚障害を考える会』主催の講演会から始まったので、また山梨県のイベントで一年の締め括りができるのは誠に嬉しいことである。
■演題
そもそも障害とは、回復とは何か
■セットリスト
第一章 自己紹介
第二章 精神科における障害と回復の意味
第三章 眼科における社会的回復の手段
第四章 まとめ
1.だからみんなで
そもそも『甲斐ひとみネット』とは何か。これは山梨の人たちの目を守ろうという趣旨で立ち上げられたチームだそうで、所属しているのは医療関係者だけでなく、教育や行政の関係者、当事者やそのご家族と幅広い。健康な目を守っていくためには眼科の先生の奮闘だけでは不十分で、様々な方面からの連携した支援が必要ということなのだろう。
とてもわかる気がする。精神科で例を挙げるなら自殺対策がそうであり、命を守っていくためには精神科医だけが奮闘しても不十分。死にたいくらい苦しんでいる人の気持ちを精神医学で多少和らげることができたとしても、その人が苦しんでいる学校の問題・家庭の問題・貧困の問題などは医療では解決できない。根本的な対策には教育・行政・司法などみんなで連携していくことが必須なのである。
だから山梨の地で視覚障害の支援のためにこのようなチームが立ち上がっているというのは支援者としてとても尊敬するし、当事者としてもとても頼もしい。そんなチームの総会で講演をさせていただけたというのは本当に光栄である。もしチームに精神科医もいらっしゃるのならいずれゆっくりお話をしてみたい。
2.人間だから
講演の内容としては、今回は医療者としての話が主体。精神科での障害や回復の考え方を眼科にご紹介してみた。三十分の持ち時間だったのに少々詰め込み過ぎてしまったのが反省点。
視覚障害を考える講演会なのに半分は精神障害の話をしているのはどういうことだと思われた方もおられたかもしれない。ただ僕自身当事者として強く思っていることだが、視覚障害者だからといって視覚障害のことばかりに目を向けるのはそれこそ視野が狭まってしまう。別の障害、あるいは障害でなくとも人間それぞれが持っている苦労を理解しようと目を向けた時にこそ、自らの障害をより深く理解でき、周囲にも理解してもらえるのだ。
そんなわけですので一風変わっていたかもしれないお話ですがご容赦いただきたい。
3.研究結果
僕の第2の人生は五年前の山梨の講演から始まりました。そして山梨は大学時代に音楽部の合宿で毎年通っていた思い出の地でもあります。
甲斐ひとみネットの更なる発展を祈願しております。いつか山梨に恩返ししたいなあ。まあとにかく、今年の講演はこれでおしまい!
令和5年12月17日 福場将太