ちょうどよく時間の隙間が埋まった休日はとても気持ちが良い。今回はそんなお話。
1.ゴロゴロ
年明け早々に講演の仕事があったので、年末年始もどこか気を抜けずに過ごしていたが、それが終わるとようやくほっと一息。1月8日はひたすらゴロゴロしていた。夜には『視覚障害をもつ医療従事者の会 ゆいまーる』のオンライン新年会があるので、それまでの時間は完全にフリー。好物の日清焼きそばを食べたり、いよいよ今年最新作が公開される『インディ・ジョーンズ』の過去作を見返したりしていたが、午後3時を過ぎた頃にふいに思い立った。
…そうだ、弾き語りをしよう!
フォークギターをかき鳴らしてひたすら思い付くままに好きな曲を歌う、これを僕は『弾き語りラッシュ』と呼んで居る。1~2時間これをやるだけで心も体もスッキリするので、かつては少なくても週に一回は仕事の後にやっていた。しかしコロナ情勢になってからは激減、仕事が終わるとまっすぐ退勤するのが当たり前で月に一回もできなくなった。
でも今日は休日で誰とも接触しないし人込みにも行かない。真冬の北海道にしてはさほど寒くなく、雪も積もってはいるが降ってはいない。ゆいまーる新年会まではまだ猶予がある。そして年末年始の食べ過ぎで体もなまっている、運動も必要だ。
やるか、よしやろう。
決断してからは早かった。ベッドを飛び起きてギターを準備、しっかりマフラーとセーターを着込んで僕は市内某所へ移動したのである。
2.バリバリ!
正直不安もあった。昨年11月にコロナに感染し、幸い高熱も出ず目立った後遺症もなく回復したのだが、喉への影響は少なからず自覚していたからだ。もちろん室内の乾燥や以前のように毎週歌っていないので喉の筋肉が落ちたせいもあると思うが、年末に少しだけ弾き語りをしてみたら思うように声が出ずに歌えなくてかなりショックだった。
さて、恐る恐るやってみた弾き語りラッシュ。継続は力なりとはよく言った者で、やはり以前のようにはいかなかった。声が出なかったりかすれたり、歌詞が抜けたりする場面が多発。
しかし三十分ほどやっているとなんとなく感覚が戻ってきて、大いなる自己満足ではあるが年末よりははるかに快調な弾き語り。まだまだ毎週やっていた頃には遠いが、また練習を重ねれば元の喉に戻るのではとほのかな希望を抱くことができた。
急に思い立ったことだったがやってよかった。時計を見るともう午後6時を回っている。どうしてもやりたい曲だけ最後にやり、慌てて後片付けをして僕は家路を急いだのである。
3.ホクホク
帰宅するやいなやシャワーを浴び、出掛ける前に解凍しておいたホルモンと野菜を炒め、パソコンを用意して準備OK。通信トラブルで少し遅れてしまったが無事ゆいまーるの新年会に参加できた。
日本中からオンラインで集まった仲間たちの声に心が幸せに満たされる。一人趣味が大好きな自分だが、それは大切な人たちとの触れ合いもあってこそ。中には先日の山梨の講習会を聴いてくださった方もいて、本当に有難いと思った。また目が不自由な中でのコロナ体験を共有したり、見えなくなってもスキーをやっているという話に驚いたり、盲導犬の魅力を教えてもらったり、ゆいまーるというネーミングの意外な由来がわかったり、本当に話題が尽きない三時間だった。調子に乗ってまたギターまで鳴らしてしまい失礼しました。
会話の中でもう自分がゆいまーるに入ってから10年経っていたことも判明。今年はゆいまーる自体が15周年。アニバーサリー大好き人間としては、何か記憶に残ることをやりたいものである。
4.研究結果
忙しさも暇も大切。一人の時間も触れ合いの時間も大切。
そんなパズルのピースを組み合わせて素敵な2023年を描きたい。
令和5年1月9日 福場将太