今年はなんだかとても長かった気がする。忙しかったわりに行動範囲が狭かったせいだろうか。最後にそんな2021年を研究しよう。
1.今年のコンセプト
正直なところ、何を掲げていたのか完全に忘れていた。そして一年前の研究コラムを読み返すと…『スキルアップ』なんて書いている。そういえば今年の前半戦は勉強をしていたっけ。まあしていたとはいってもせいぜい一日1~2時間程度の話だが、精神医学や心理学にまつわる音声図書を聴いたり、テレビの医療番組を見ながらノートにまとめたり、メッセンジャーRNAワクチンを理解するために二十年ぶりに免疫学の勉強をしたりしてみた。緊急事態宣言で家にいる時間が延びたため、その分自習に勤しめたわけである。
でもまあ半年もするとスキルアップのことは綺麗さっぱり忘れてしまい、2021年の後半戦は『再構築』が新たなコンセプトになっていた。まだコロナ情勢が終わったわけではないが、自粛のために縮小したことをいかに盛り上げなおすかが職場では課題となった。人間関係の面においても、今年は衝突が多かった分、より良い関係への再構築もいくつか感じることができた。
また、来年さらには再来年へ向けての用意といえる活動が今年は多く、忙しかったのはそのせいでもある。その意味では『下準備』も隠しコンセプトだった。
2.メリット
『スキルアップ』のメリットは言わずもがな、勉強したり練習したりすることにデメリットがあろうはずもない。むしろ学びたいことはまだまだあるのになかなかそこに時間が割けないことがストレスだったりした。
『再構築』や『下準備』のメリットは何といってもワクワク感。いずれこの活動が結実する日を楽しみにできると生きるエネルギーになるのだ。
3.デメリット
ただ『再構築』は完全には成し得ないものだということも痛感した。一度終わらせたもの、縮小したものを元通りにすることはできない。
また『下準備』も、結果が出るまでは人知れず努力せねばならないのがつらいところでもある。絶対に報われる保証はない、それでももしかしたらと信じて誤解も批判も承知で虎視眈々と用意する。楽しくもあり、苦しくもありといったところか。
ついでに今年は急な腹痛により救急車で運ばれるという経験もした。幸い大事には至らなかったが、無理は禁物と思い知ったことを書き残しておこう。
4.活動報告
2021年、どんな活動ができたかを振り返ってみよう。
●公益社団法人 NEXT VISION
今年は一度も神戸アイセンターへ行けず、イベントは全てオンラインでの参加だった。それでも『第100回ロービジョンの集い』で自分と同じ網膜色素変性症の若者たちがカミングアウトの体験談を語ってくれたり、『I see! Working Awards 2021』で我らがゆいまーるの守田代表が受賞したり、あったかい気持ちになれる場面はたくさんあった。
●視覚障害をもつ医療従事者の会 ゆいまーる
こちらも直接集まることは一度もなかったが、その分オンラインでの交流が活発に行なわれた。特にこれまで我が家にはネット環境がなかったのだが、この機についにパソコンでインターネットができるようにしたおかげで、積極的にゆいまーる関連の勉強会や交流会に参加することができた。
また来年刊行予定の機関誌の編集委員に加えてもらったり、点字毎日に連載中の『ゆいまーるのこころだより』も新たな著者も加わって三年目に突入したり、楽しみは多かった。
ゆいまーるのつながりでオンライン講演会も一つやらせていただき、久しぶりに心の支援者なおかつ視覚障害の当事者というダブルフェイスで話せたのが嬉しかった。
●音楽関連
今年は去年よりも精力的に録音作業を行なえた。新しい曲を作るよりも昔作った曲を録り直すのが中心で、このサイトの音楽室に更新した『弾き語りウェディングソングス』と『時には学生時代の恋唄なんぞを』はいずれも20代の頃に作った曲が中心のアルバムとなった。これはこれでとっても楽しかったが、来年は新しい曲の録音もしていきたい。
●執筆関連
まずは去年からこのサイトの図書室で連載した『Medical Wars』を無事に完結できたことに達成感がある。しかもこれまでで一番感想を多くいただいた。そのメッセージに何度心を救われたことか。
またメルマガ色鉛筆編著による『見えない地球の暮らし方』という本にも寄稿の機会をいただいた。見えない人・見えにくい人たちのリアルな心情が綴られた本で、読みながら何度も目頭が熱くなった。こんな素敵な本にコメントを書かせていただけたのは光栄だ。
その他にも今年の発表とはならなかったが、上述の『下準備』の執筆がいくつかあった。いずれ形になってくれることを願うばかりである。
5.来年のコンセプト
2019年が『ためらうな』、2020年が『優しくなれ』と『無理するな』、2021年が『スキルアップ』と『再構築』そして『下準備』ときて、はたして2022年をどうするか。やはりここは『新たなる挑戦』といきたい。これまで経験したことのないことに勇気を持って踏み出したいと思う。ただそのためにはスケジュールの調整は不可欠であり、新しいことを取り入れるには古い何かをやめてスペースを作る必要がある。そこは大いに悩むとしよう。
このサイト『MICRO WORLD PRESENTS』も四年目だ。少しでも新鮮な原稿を更新していきたいと思う。今年閲覧してくださったみなさん、本当にありがとう!
6.研究結果
今年は未来に花開かせる球根をいくつか植えた一年だった。さて、わすれていたスキルアップ、読み残している本をなんとか年内に読み終わりたい。
2021年の自己採点: 75.4点
令和3年12月11日 福場将太