最悪な一日を最高の一日に変えるテクニック

一体どうしちゃったんだろう、神様に嫌われたのかと思うくらい最悪な一日というのが時々ある。それは強烈なアッパーカットを一発食らったというよりも、鈍いボディーブローを何発も食らった感じで、ようするに少し嫌なことがまるで意地悪のように重なる日なのだ。自棄になるとそのせいでまた嫌なことが起こるというまさに悪循環。

そんな日はジタバタせずにさっさと寝てしまうに限る。だが、それはそれで悔しい。そんなわけで今回は最悪な一日を最高の一日に変えるテクニックを研究してみよう。

1.嬉しさで中和

初歩的なところでいうと、嫌なことがあった日は意図的に嬉しいことを重ねるのが効果的だ。例えば好きな物を食べるとか、欲しかった物を買うとか。ただこの方法は経費がかかるので、「嫌なことがなければこのお金は使わなかったのに」と思ってしまうとなかなか心から喜べない。

なので嬉しいことは土壇場で用意するというより、予想外に舞い込んで来てくれた方が効果的だ。とはいえそんな偶然はそうそう起こらない。そこで前もって自分で種を蒔いておくのがよいのではないか。つまり、嬉しいことに繋がるかもしれない可能性の種である。

例えばレンタルのDVDやCDを注文しておく、景品が当たる抽選に応募しておく、友人とそのうちやろうとイベントを計画しておく。嫌なことがあった日にたまたま商品が届いたり、当選の通知が来たり、友人からの連絡が入ったりするとなんだか救われる気がするものだ。

ちなみに僕の場合は、このサイトに掲載している音楽や小説について感想のメールが届くと、それだけでとてもハッピーな気持ちになってしまう。これからも最悪な一日に備えて、いつ花開くかわからない小さな喜びの種を普段から生活の中にしっかり蒔いておきたい。

2.好きな人に出くわす

やはり恋愛感情は良くも悪くも人間の理性を超越するので、うまく働けば理屈抜きで心を元気にしてくれるだろう。もちろん会いたい時に会える両想いのパートナーがいるのなら、その人に会えば嬉しくなる。ただ先ほどと同じで、予想外に舞い込んだサプライズの方がより嬉しく、その意味では片想いの相手にたまたま出くわす方が効果は絶大だ。嫌なことばかりで最悪だと感じていた一日でも、最後の最後で大好きな人に偶然会えれば一発逆転、最高の一日に変わるに違いない。心は複雑なようで極めて単純である。

とはいえそんな偶然こそ滅多に起こらない。まあ滅多にないから嬉しいともいえるが、路上やコンビニ、休日の学校やオフィス、図書館や河川敷などなど、一切の作為なくたまたま好きな人と出くわすなんてのはドラマの世界である。探し回ったってそうそう出会えるものでもない。「こんなとこにいるはずもないのに」という、山崎まさよしさんの名曲のワンフレーズが聴こえてきそうである。

3.アイデアを閃く

そんなわけで僕が一番使っているテクニックは、アイデアを閃くことだ。音楽、小説、あるいは仕事に関することでもいい。どんなに最悪な一日でも、最後の最後に何か良い案が思い付いたらその喜びは全てのストレスを凌駕する。ああこの発想にたどり着くために今日は嫌なことが起こってたんだと思えてしまう。

それくらいアイデアというものは貴重で嬉しいものなのだ。だって何時間机に向かって考えたから思い付くというものではない、こうすれば必ず出てくるというものでもない。それこそ天からの恵みのようなもので、意地悪だと思っていた神様に途端に感謝できてしまうのだ。

これももちろん偶然の産物だが、この偶然を起こすためには普段から「何か面白いことはないだろうか」とあれこれ考えながら暮らしていることが大前提。実はこれは嘉門タツオさんがラジオでおっしゃっていた教え。その影響で中学生の頃から続けている創作活動の習慣は、きっと自分でも気付かぬうちに何度も心を救ってくれているのだろう。

魅力的なメロディが降りてきた時、作詞のフレーズが思い付いた時、推理小説のトリックが浮かんだ時、患者さんと行なう勉強会のテーマを着想した時、仕事で抱えていた問題を打開する妙案がひらめいた時…心はワクワクでいっぱいになる。そしてそれらをちゃんと形にするまで死ねない、完成させるその日は必ず来るから、その日まで生きるのがまた楽しみになるのである。

4.研究結果

素敵な偶然が起きる下準備をしておけば、最悪な一日が最高の一日に大逆転!

令和3年8月1日  福場将太