I See! Working Awards 2021

令和3年2月28日(日)、今年もこのイベントがやってきた。公益社団法人NEXT VISION主催のコンテスト『I See! Working Awards』の授賞式だ。

1.全国規模へ

新型コロナウイルスの感染対策として、今年は全てオンライン、ZOOMでの開催となった。もちろん直接触れ合えないのはデメリットだが、日本全国からワンタッチで参加できるというのは大きなメリット。受賞者や観覧者には視覚障害の当事者も多いので、移動障害を生じさせないというのは理にかなっている。おかげで僕も雪害による足止めを心配することなく北海道から参加できた。

さらにそれだけではない。オンライン開催にしたことで、図らずも全国規模のイベントにできたという点は特筆しておきたい。もちろんこれまでも全国規模のイベントだったのだが、どうしても神戸アイセンターで開催する都合上、関西方面の方の参加が多かった。
しかし今回は日本中どこに住んでいる人も条件は同じ、もっといえば仮に地球の裏側にいる人だったとしても物理的距離はゼロ、関西ローカル番組から一気に全国放送になった趣である。
日本中で周知されるイベントにしていきたいというのはNEXT VISIONとしてもかねてからの目標だったので、逆風を利用してその足掛かりを作ったといえよう。来年度はリアルとオンラインを融合した形式にすれば、さらに躍進できるのではないだろうか。
…なんて偉そうに書いておりますが、これは全てNEXT VISION理事の皆様の受け売り。僕は審査作業と当日のコメントをちょこっとしただけなので、実際に会を企画・運営してくださった方々の努力と熱意には頭が下がるばかりである。

2.価値観の転換

これも受け売りになってしまうが、今回のイベントに参加しながら特に感じたのが『価値観の転換』がどんどん起きてきているということ。視覚障害は本当に障害なのか、障害当事者は本当に社会的弱者なのか、といった基本的な命題に端を発し、これまで無理だとされてきたことが次々と可能になってきている。今回事例部門で授賞された方々の存在はまさにそれを証明している。そしてアイデア部門で授賞された数々の発想は、これからさらに常識が覆されていくことを期待させる。
閉ざされた道を無理に掘り進めようということではない。閉ざされた部屋から壁を壊して脱出しようということではない。価値観さえ転換できれば、袋小路は交差点に、密室は解放空間に、バリアはバリューに、当事者はパイオニアに変わるのだ。

今回、僕も所属している『視覚障害をもつ医療従事者の会 ゆいまーる』代表の守田先生が事例部門で授賞された。この人こそ、まさに日本における目が見えない医者のパイオニア。これからも多くの人たちに希望を示していただきたい。
医療者は五体満足で当然、障害者は支援を施されて生きる存在…そんな価値観はいずれ過去の遺物となり果てるであろう。誰もが不完全な存在、時には当事者になったり、時には支援者になったり、色々な役回りをしながらみんなで生きていけたらそれでよいのだ。

3.乞うご期待

同日夜はNEXT VISIONの理事会であった。三宅くんとも画面越しだが久しぶりに話ができてよかった。でも友人との語らいについては直接会うのに勝る形式はないだろう。早くまた一緒に食事を囲みたい。
理事会の内容はもちろんここでは明かせないが、これからもどんどん新しい発想のイベントをNEXT VISIONは企画していく予定なので、どうぞお楽しみに!

…余談だが、実はこの日、僕の暮らす北海道の街はとんでもない災難の渦中にあった。もちろん僕自身も他人事ではない…というよりむしろ当事者ど真ん中。一体何が起きていたのかは、状況が落ち着いたら次回の研究コラムにする予定。そんなわけで精神的にも身体的にも疲れを感じていた自分であったが、いくつもの可能性に満ち溢れた授賞式と理事会のおかげで、僕は元気を給水されたのである。

4.研究結果

仕事をして疲れが癒えることもあるものだ。

令和3年2月28日  福場将太